インテリジェンス・ナウ

NSCから消えた「感染症対策担当官」:「コロナ大混乱」でトランプ政権「機能マヒ」

執筆者:春名幹男 2020年3月24日
エリア: 北米
「私は戦時大統領だ」と胸を張ってはみたものの、その実は……(C)AFP=時事

 

 米国は、感染者が短期間に4万人を超え、中国、イタリアに次ぐ世界3位に急増したが、死者は1%強と死亡率が低い。「新型コロナウイルス」対策の初動が遅れ、証券市場もパニックに陥ったが、医療崩壊阻止に懸命になっている様子がうかがえる。

 では、きわめて重要な初期対応はどうなっていたのか。実は、ドナルド・トランプ政権の対応に、信じられない失態があったのだ。

受け手がいなかったCDCの情報

 日本の感染症専門家もうらやむ米国の疾病対策センター(CDC)。第2次世界大戦中の「国防マラリア対策活動局」などがその起源だ。戦後発展を続け、厚生省傘下の組織となって、現在は職員1万人以上、年間予算は1兆円を超える。本部はジョージア州アトランタに置かれている。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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