入国制限・都市封鎖への「出口戦略」は

執筆者:池内恵2020年3月26日

全世界的に、外国人の入国拒否・自国民の旅行制限と帰国者の隔離、社会的隔離、都市封鎖が進む。グローバル化が急停止している。

サウジアラビアなどペルシア湾岸の産油国も次々と国境を閉じた。最初はペルシア湾対岸で感染爆発が著しいイランとの国境を閉じたのを手始めに、メッカへの通年の小巡礼の停止、都市のロックダウンへと続いている。

ここで気になるのは、湾岸産油国が依存する外国人労働者はどうなるのかという点である。

多くの外国人労働者は決められた年限を、就労ビザを保持して過ごすが、一定間隔で里帰りもしている。一旦出国すると戻れないということになると、外国人労働者の側も困るが、サウジやUAEなどの国民の側も困る。湾岸産油国の経済社会は、職能ごとに出身国で分化しており、ある国からの(あるいはあらゆる外国からの)出入りを止めれば、特定の職能を持った人間の供給が減り、国内の労働市場からは供給を増やすことが困難な構造にある。

湾岸産油国は、短期間の全面的な入国拒否の時期を除けば、労働許可証の保持者については実質上は再入国を認めていくだろうが、その際に感染者を入国させてしまうと大問題になる。「PCR検査陰性証明書」といったものを要求するものとみられる(すでに求められたという話は聞く)。

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