策士の腹を読み解くには広く深い視点が必要(C)AFP=時事
 

 この動きは、どう読めばいいのだろうか?

 ロシアの国営石油「ロスネフチ」が、所有しているベネズエラのすべての資産と事業をロシア政府に売り渡す、というのだ。

 これで、ベネズエラを巡る米国の制裁が「ロスネフチ」本体に及ぶ可能性を払拭できる、ということらしいが、本当にそれだけが狙いなのだろうか?

 本欄『「トランプ外交」矛盾迷走「対ベネズエラ制裁」今度はロシア国営石油』(2020年2月21日)でご紹介したように、米国は今年の2月中旬、「ロスネフチ」の子会社「ロスネフチ・トレーディング」と、同社の最高経営責任者(CEO)ディディエ・カシミロを制裁対象とした。同社が制裁に違反してベネズエラ原油の販売と輸送を手伝っている、との嫌疑からだ。 

 ベネズエラに限らず同社と何らかの取引を行っている企業は、90日間の猶予期間のうちに契約関係を解消しないと、米国の制裁対象となる。したがって「ロスネフチ」は、ベネズエラ以外の広範な取引は、主体を「ロスネフチ・トレーディング」から他の組織に変更するだろう、と見られていた。

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