新型コロナ政府専門家会議の尾身茂副座長(左から2人目)は4月1日、記者会見で「医療態勢の抜本的な対策が必要」と訴えたが (C)時事
 

「ロックダウン」(都市封鎖)の議論が盛り上がっている。

 3月13日に成立した「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)によれば、「新型コロナウイルス」が全国的に蔓延し、国民生活に甚大な影響を及ぼすおそれがあるときには、政府対策本部長(内閣総理大臣)は期間・区域を区切って、緊急事態宣言を出すことができる、とある(特措法32条)。

 具体的には、医療提供体制を崩壊させないことを目的に、検疫停留施設の使用、医師に医療等実施要請、不要不急の外出の自粛要請、学校・興行場等の使用制限要請、臨時の医療施設開設のための土地使用、緊急物資の運送、特定物資の売渡しの要請などが発動できるようになる(特措法第45条~55条)。

「緊急事態宣言」と「ロックダウン」は別物

 では日本は、特措法に基づくロックダウンを発動すべきだろうか。

 結論から申し上げると、私は反対だ。

 現状ではロックダウンはメリットよりデメリットが大きく、そのことが十分に議論されていないと考えるからだ。

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