コロナ財政支援で日銀が債務超過になる?

執筆者:野口悠紀雄2020年5月21日
リブラ公式HPより

 

「コロナ期」を通じて、日本銀行は国債を無制限に購入して金利の上昇を抑える姿勢を明らかにしている。

「コロナ後」には金利が上昇する可能性が高いので、購入した国債の市場価値は下落する。また、「コロナ期」に購入したリスク資産の価値が下がる。

 この結果、日銀は債務超過に陥る可能性がある。

 通貨発行権を持つ日銀は、民間企業とは異なり、債務超過に陥っても破綻することはない。しかし、当座預金にプラスの付利を行う必要が生じ、日銀の収支を大きく悪化させる危険がある。

コロナ期の財政支出で日銀に膨大な国債が積み上がる

 4月20日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策は、巨額のものとなった。

 補正予算における国債発行増 は約26兆円であり、当初予算と合わせると約58兆円となった。この結果、今年度末残高は、1033兆円になる。

 財政支出は、今後も増える可能性が高い。第2次補正予算が組まれるのは、ほぼ確実だ。

 それ以降も対応が必要となる可能性が高い。

 これらを賄う財源としては国債以外に考えられないので、国債発行が増えることになる。

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