新・マネーの魔術史:未来篇 (34)

コロナ財政支援で日銀が債務超過になる?

執筆者:野口悠紀雄 2020年5月21日
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

「コロナ期」を通じて、日本銀行は国債を無制限に購入して金利の上昇を抑える姿勢を明らかにしている。

「コロナ後」には金利が上昇する可能性が高いので、購入した国債の市場価値は下落する。また、「コロナ期」に購入したリスク資産の価値が下がる。

 この結果、日銀は債務超過に陥る可能性がある。

 通貨発行権を持つ日銀は、民間企業とは異なり、債務超過に陥っても破綻することはない。しかし、当座預金にプラスの付利を行う必要が生じ、日銀の収支を大きく悪化させる危険がある。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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