「コロナ経済対策」は必要な規模にはなっていない

執筆者:野口悠紀雄2020年5月28日
リブラ公式HPより

 

「新型コロナウイルス」による経済活動の落ち込みに対処するため、世界各国で経済対策が行われている。日本の対策は、どの程度の規模のものか? 他国と比べると、どうか? 日本の経済対策は対GDP(国内総生産)比で世界一というのは、本当だろうか?

補正予算額は25.7兆円

 4月20日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策は、事業規模が117.1兆円、財政支出が48.4兆円だ。

 事業規模と財政支出の額が大きく違う。なぜこのようになるのだろうか?

 それは、施策の中には、融資や納税猶予などが含まれており、これらは財政支出を伴わないからだ。施策の「規模」を考えるには、この点を考慮する必要がある。

 以下の議論においては、財政支出がどれだけあるかを問題とする。これは、しばしば、「真水(まみず)がどれだけあるか」と言われることだ。

 上記の財政支出のうち 国費は33.9兆円だ。そのうち、4月30日の参院本会議で可決、成立した2020年度補正予算は27.5兆円である。そのうち、一般会計が25兆6914億円だ。これは、過去最大の規模だ。

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