「デジタル人民元」「リブラ」の発行が視野に

執筆者:野口悠紀雄2020年6月4日
リブラ公式HPより

 

「デジタル人民元」は、すでに実験段階に入っているようだ。

 これによって人民元の国際化が進む可能性がある。

「フェイスブック」が提案する仮想通貨「リブラ」は、当初の計画を大きく変更しつつも、2020年中の実現をめざす。

「デジタル人民元」がすでに実験を開始

 中国が発行を予定している「デジタル人民元」は、新型コロナ禍で開発が停滞しているかに見えていた。しかし、すでに実験を開始していることがわかった。

 場所は、広東省深圳、江蘇省蘇州、河北省雄安新区、四川省成都、それに冬季五輪の会場。これから推察すると、2022年2月に北京で開く冬季五輪までに発行する方針であると考えられる。

 蘇州市では4月中に公務員らにデジタルウォレット(財布)が割り当てられ、5月には通勤交通費補助の半額がデジタル人民元で支払われると伝えられた。小売業や飲食業も参加する予定で、「スターバックス」や「マクドナルド」なども名を連ねているという。

 この実験には、「中国銀行」「中国工商銀行」「中国建設銀行」「中国農業銀行」という四大主要銀行が参加する。また「チャイナモバイル」「チャイナテレコム」「チャイナユニコム」の携帯キャリア3社も協力する。

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