日本でキャッシュレス化が進まないのはなぜか?

執筆者:野口悠紀雄2020年6月11日
リブラ公式HPより

 

 日本がキャッシュレス後進国であることは、よく知られている。政府はポイント還元策を実施したが、最も増えたのは、コストの高いクレジットカード決済だった。一方、電子マネーはさまざまな規格のものが乱立して使いにくい。複数の電子マネーを統合するUPIの仕組みを導入すべきではないか?

日本はキャッシュレス後進国

 日本のキャッシュレス決済比率が低いことは、よく知られている。

 経済産業省の商務・サービスグループキャッシュレス推進室の資料によると、キャッシュレス決済比率は、主要各国では40%~60%台だ。韓国では96.4%にもなっている。

 それに対して、日本は約20%にとどまっている。

 キャッシュレス推進室は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度に引上げ、将来は世界最高水準の80%を目指すとしている。

 日本経済の生産性を高めるために、キャッシュレス化は是非必要なことだ。また、「新型コロナウイルス」の時代には、人と人との接触を減らす観点からも、キャッシュレス化が望まれる。

ポイント還元策とその結果

 政府は、2019年10月から20年6月中まで、消費税増税にあわせたポイント還元策を実施している。

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