尖閣諸島海域で、中国公船(奥)を監視する海上保安庁の巡視船。米海軍空母の不在が大きかったか[海上保安庁提供](C)時事

 

 昨年9月末、こんな事件があった。

 米海軍特殊部隊の精鋭組織SEAL「チーム6」の本部もある東部バージニア州ノーフォークの米海軍基地。緊張感漂う基地のゲートで、夫婦連れ数人の中国人グループが車で検問を通り抜けようとした。

 これに対し警備兵は「ゲート内にいったん入ってUターンし、出て行くよう」指示した。しかし彼らは構わず基地内を前進、前から来た消防車に阻まれ、身柄を拘束された。中国人は「英語が分からなかった」と見え透いたウソをついた。米国は「外交官」を偽装した中国情報機関員1人を含む2人を国外追放した。

「知らぬふり」して、相手国の領域に侵入する中国の手法は、尖閣諸島周辺でも、南シナ海でも、中印国境でも続いてきた。

 しかし、今回は少し違う。新型コロナウイルス感染被害を受けた米空母が通常の行動から外れ、穴が開くと、中国海軍空母「遼寧」を台湾海峡近くに派遣、米軍の裏をかいたのである。中国軍は「コロナ後」をにらんで、米軍から覇権を奪取する意思を示した。

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