ジョージア・アルメニア国境付近には世界遺産にも選ばれている古刹が多数存在する(筆者提供)

 

 イランにおけるジョージア人コミュニティを探訪した『ジョージアから「連れ去られた人々」を追って――イラン・フーゼスターン紀行』(全4回)と『ジョージア・ワイン・ルネッサンス』(全6回)について記している間に、ジョージア国内について記す機会を失っていた。

 もっとも、イランにおける共同体の存在も、アメリカ人によるクヴェヴリワイン(甕で醸造するジョージアの伝統的ワイン)の「伝道」も、ジョージアという国の「汎ユーラシア的」性格を物語る。別の言い方をすれば、ジョージアおよびコーカサス(カフカス)は優れて、ユーラシア地政学と文化の隠れた指標となるのである。

 さて、ジョージアの近況と言えば、やはり気になるのは新型コロナウイルスの問題である。世界に蔓延するこの感染症についても、実はジョージアは極めてユニークなサンプルを提供する。

 素人考えかもしれないが、ジョージアの例を見てみると、コロナ感染が(純粋な感染症というよりも)いかに社会的な事象か(あるいは感染症とはそもそもそういうものかもしれないが)がよくわかる。

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