ジョージアから「連れ去られた人々」を追って――イラン・フーゼスターン紀行(1)

執筆者:前田弘毅 2019年6月3日
エリア: ヨーロッパ 中東
アフヴァーズ市内のモスク(筆者撮影)

 

 3月中旬、数年ぶりにイランを訪れる機会を得た。今回は国内便を利用して地方都市にも足を延ばすことができたが、経済制裁下でも急速に進むデジタル社会の進展ぶり、他方で伝統に根ざす豊かなその素顔に触れることができた。むろん、国際社会から切り離されている困難さも少なからず感じることになった。

 これから現地でのエピソードを中心に、イランの過去と現在の姿について少し触れてみたい。なにしろ大学の同僚にもイランに行くというと、「危なくないですか?」と問われる昨今である。実際に大きな問題を抱えていることは承知しているが、これほど「誤解」されている国も少ないだろう。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
前田弘毅(まえだひろき) 東京都立大学人文社会学部教授。プリンストン大学近東学部客研究員。1971年、東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業、同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。大学院在籍中にグルジア科学アカデミー東洋学研究所に留学。北海道大学講師・客員准教授、大阪大学特任助教・招へい准教授、首都大学東京都市教養学部准教授などを経て、2018年より現職。著書に『多様性と可能性のコーカサス』(編著、北海道大学出版会)、『ユーラシア世界1』(共著、東京大学出版会)、『黒海の歴史』(監訳)『コーカサスを知るための60章』(編著)『イスラーム世界の奴隷軍人とその実像』(ともに明石書店)、『グルジア現代史』(東洋書店)など。ブログはこちら【https://www.hmaeda-tmu.com/】。
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