ロシア人殺到で住宅高騰「ジョージア」で感じた地政学的矛盾 

執筆者:前田弘毅 2022年11月26日
カテゴリ: 政治 社会
エリア: ヨーロッパ
すっかり人通りの戻ったジョージア・トビリシのルスタヴェリ大通り(筆者撮影、以下同)
 
ロシア・ウクライナ戦争が隣国ジョージアに思わぬ影響をもたらしている。ロシア人が殺到したことで海外送金が増えた一方、首都トビリシの家賃が高騰し、困窮した学生による抗議行動が起きているという。未だにロシアと断交状態にあるものの、ロシアに融和的な政権が10年続いているジョージアの矛盾に満ちた現象をレポート。

 2022年9月、コロナ禍で足が遠のいていたジョージア(グルジア)を3年ぶりに訪れた。経由地のトルコ・イスタンブルでは、ロシア・モスクワ行きのフライトがひっきりなしに飛んでおり、NATO加盟国でありながら、ロシア・ウクライナ戦争で仲介役として存在感を増すトルコの特殊さを感じた。

 もっとも、反露感情の強い国として知られるジョージアでも、国際関係にまつわる多くの矛盾を体感することになった。

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執筆者プロフィール
前田弘毅(まえだひろき) 東京都立大学人文社会学部教授。プリンストン大学近東学部客研究員。1971年、東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業、同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。大学院在籍中にグルジア科学アカデミー東洋学研究所に留学。北海道大学講師・客員准教授、大阪大学特任助教・招へい准教授、首都大学東京都市教養学部准教授などを経て、2018年より現職。著書に『多様性と可能性のコーカサス』(編著、北海道大学出版会)、『ユーラシア世界1』(共著、東京大学出版会)、『黒海の歴史』(監訳)『コーカサスを知るための60章』(編著)『イスラーム世界の奴隷軍人とその実像』(ともに明石書店)、『グルジア現代史』(東洋書店)など。ブログはこちら【https://www.hmaeda-tmu.com/】。
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