アゼルバイジャンvs.アルメニア紛争激戦地「ナゴルノ・カラバフ」因縁の歴史

執筆者:前田弘毅 2020年10月6日
カテゴリ: 政治 軍事・防衛
エリア: ヨーロッパ
A砲撃が続くナゴルノ・カラバフの中心地ステパナケルト(C)AFP=時事

 

 

 旧ソ連地域のいわゆる「凍結された紛争(フローズン・コンフリクト)」の代表的事例であるナゴルノ・カラバフ紛争が、火を噴いている。

 様々な報道がすでになされているが、ここでは基本的なポイントについて記しておこう。

名称の成り立ちからして複雑

 ソ連時代、アゼルバイジャン共和国の内側に、アルメニア人住民が多数を占めるナゴルノ・カラバフ自治州が設置された。この地域の帰属を巡るアゼルバイジャンとアルメニアの争いが、いわゆるカラバフ紛争である。

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執筆者プロフィール
前田弘毅(まえだひろき) 東京都立大学人文社会学部教授。プリンストン大学近東学部客研究員。1971年、東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業、同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。大学院在籍中にグルジア科学アカデミー東洋学研究所に留学。北海道大学講師・客員准教授、大阪大学特任助教・招へい准教授、首都大学東京都市教養学部准教授などを経て、2018年より現職。著書に『多様性と可能性のコーカサス』(編著、北海道大学出版会)、『ユーラシア世界1』(共著、東京大学出版会)、『黒海の歴史』(監訳)『コーカサスを知るための60章』(編著)『イスラーム世界の奴隷軍人とその実像』(ともに明石書店)、『グルジア現代史』(東洋書店)など。ブログはこちら【https://www.hmaeda-tmu.com/】。
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