すっかり人通りの戻ったジョージア・トビリシのルスタヴェリ大通り(筆者撮影、以下同)
 

 2022年9月、コロナ禍で足が遠のいていたジョージア(グルジア)を3年ぶりに訪れた。経由地のトルコ・イスタンブルでは、ロシア・モスクワ行きのフライトがひっきりなしに飛んでおり、NATO加盟国でありながら、ロシア・ウクライナ戦争で仲介役として存在感を増すトルコの特殊さを感じた。

 もっとも、反露感情の強い国として知られるジョージアでも、国際関係にまつわる多くの矛盾を体感することになった。

3年ぶりの秋祭り

秋祭りトビリソバ会場近くの中心部旧アレクサンドレ庭園
 

 3年ぶりに訪れたジョージアの首都トビリシは秋晴れの気持ちの良い日が続いていた。新型コロナの感染状況も落ち着き、街でマスクをしている人はほとんどいない。コロナ禍では市内が封鎖され、大学もオンライン授業に切り替わっていたというが、この秋から制限は解除されていた。

 市内では3年ぶりに「トビリソバ」という秋祭りが開催されていた。日本語では少し奇妙なネーミングに聞こえるが、ジョージア語で「オバ」は抽象名詞をつくる接尾辞であり、トビリシの祭りなのでトビリソバとなる。ただ、地名と組み合わせるのはどこか造語感があり(単にトビリシのもの・ことでは意味をなさない)、その意味でソ連的なネーミングともいえるかもしれない。ちなみに隣接する古都で、現役力士の栃ノ心の古里でもあるムツヘタの秋祭りは、ムツヘトバと呼ばれる。ソ連時代の1979年にはじまったトビリソバは官制の街祭りでトビリシ市が主催してきたが、コロナ前は年々規模が大きくなっていた。

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