「国際カルテル」摘発の脅威(下)ある日本人「逃亡者」の過酷体験
2020年7月28日
「もう本当にいてもたってもいられない、まったく眠れない状態。事件があってからは夜もあまり眠れない。朝方は夢を見て起きちゃうというのはずっとあって。連れて行かれる夢ですよね」
ある事件で米司法省に起訴され、日本国内にとどまっている日本人ビジネスマンの証言だ。
前回の『(上)「巨額罰金」「刑務所送り」の日本企業と日本人』(7月16日)では、「自動車部品カルテル事件」で多数の日本企業が米司法省に巨額の罰金を科され、30人以上の日本人社員が米刑務所に投獄された経緯を紹介した。
それだけにとどまらない。さらに30人が、日本国内にとどまっているとみられるのである。そうした人たちは「逃亡者」として扱われ、事実上、死ぬまで当局の追及の手から逃れることはできない。
引き渡しの恐怖
拙著『国際カルテル 狙われる日本企業』(同時代社)でも説明したが、逃亡者となった場合、「インターポール」の通称で知られる「国際刑事警察機構」(ICPO)の「赤手配書」リストに掲載される。被手配者の身柄の拘束・引き渡しを他の加盟国に要請するものだ。
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