「デジタル円」が動き出す?

執筆者:野口悠紀雄2020年7月30日
リブラ公式HPより

 

 各国で中央銀行デジタル通貨(CBDC)に向けての動きが加速している。CBDCはおそらく2層構造になり、消費者が実際に利用するリテール段階は、現在使われている電子マネーが担当することになる可能性が強い。

 ところが、日本では電子マネーが乱立していて使いにくく、コストも高い。「骨太の方針」がデジタル円をうながしたが、この現状をどのように克服するかが問題だ。

「骨太の方針」がデジタル円をうながす

 7月17日に閣議決定された2020年度の骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針」の中で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、つぎのような言及がなされた。

「中央銀行デジタル通貨については、日本銀行において技術的な検証を狙いとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」

 第3章の5項「新たな世界秩序の下での活力ある日本経済の実現」の4つの方針のうち、(3)「サプライチェーンの多元化等を通じた強靱な経済・社会構造の構築」で言及された。

「デジタル円」(日本銀行が発行するデジタル通貨)を発行するかどうかは、日銀ではなく政府が判断する。このため、デジタル通貨を認める際には日銀法の改正が想定される。

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