追求した「お土産なし」の開発理念

執筆者:白戸圭一2020年8月22日
 
 
 

「アフリカ開発会議についてはアナウンスが先行してコンセプトが後追いしている状況だ」(小原武・外務省中近東アフリカ局長)

「本会議は真剣に考えれば考えるほど頭が痛くなる会議である。正直なところお土産は難しい」(橋本宏・外務省大臣官房審議官経済協力局担当)

「本会議は大変難しい会議になるのではないかというのが第一印象だ。アフリカ諸国は欧米諸国がアフリカ離れをする中で日本が本会議を開催することを喜んでいる。しかし、話のオチをどうつけるかが難しい。お土産については、参加して『良かった』という成果が必要である。下手をすると東京まで来て説教を受けて帰るということになり兼ねずかえって逆効果である」(原島秀毅・駐マダガスカル大使)

 ここで紹介したのは、1992(平成4)年9月9~11日に外務省で開催された「平成4年度アフリカ大使会議」における出席者の発言である(役職は当時のもの)。

 本連載の5回目で、外務省内でアフリカ開発会議(TICAD)の開催を決めたのは1991年6月、日本政府として開催構想を正式発表したのは同年9月であったことを述べた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。