世界でも際立った高齢化社会である日本でこそ必要な議論なのだが……(写真はイメージです)
 

 安楽死を巡る議論が続いている。筆者にも多くのメディアから連絡があった。それは、逮捕された大久保愉一容疑者(42)と旧知だったからだ。7月23日に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性の嘱託殺人で京都府警に逮捕された人物だ。

 筆者と大久保容疑者は、彼が厚生労働省の医系技官であった頃からの十年来の付き合いだ。真面目で正義感が強く信頼出来る人物だった。常に日本の医療をよくしたいと考えていた。

 彼が医系技官を退職するときに送ってきたメールには、

「3月末に辞めるまでに何かを残せたらと思います。医師が自ら律するようになり、国試をいずれ肩代わりするまでつなぎになるような何かを。せこい話ではありますが、これまでスタックしていたものが動けばよくなり、風通しがよくなり、教育関係者の士気が上がり、学生のやる気にもつながるのではと考えています。国任せではなく、自分たちで考える環境づくりに一役買えるのではと思うのです」

 とあった。

 大久保容疑者は、厚労省が管理する医師国家試験のあり方に疑問を感じていた。問題意識は筆者も同じだった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。