「デジタル円」のリテール段階の構築は容易でない
2020年9月3日
CBDC(中央銀行デジタル通貨)のリテール部分を担当する中間業者として、銀行の他に、電子マネーなどを提供しているフィンテック企業も参入する。ところが、日本の場合、電子マネーが乱立しているので、いかに選択するかは容易でない。
なぜ二層構造のCBDCが必要か?
CBDCは二層構造になる。
なぜそうなるのか?
まず、現在の仕組みを復習しておこう。
日本の場合について言うと、つぎのとおりだ。
「マネー」には、つぎの2つのものがある。第1は、中央銀行たる日本銀行が発行する「日銀券」。第2は銀行預金だ(この他に、政府が発行するコインがある)。
なぜ、個人や企業が中央銀行に預金口座を持たないのか?
1つは歴史的理由だ。最初に民間の銀行があり、後から中央銀行ができたからだ。
もう1つの理由は、日銀が1億人以上の個人口座、および多数の法人口座を管理するのは、事実上不可能だからだ。
CBDCになった場合にも、中央銀行ではこれらの口座を管理できない。
だから、中央銀行と国民の間に、仲介業者を置き、二層構造にする必要がある。仲介業者が発行するのが、リテール段階のCBDCだ。
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