新・マネーの魔術史:未来篇 (49)

「デジタル円」のリテール段階の構築は容易でない

執筆者:野口悠紀雄 2020年9月3日
タグ: 日本
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 CBDC(中央銀行デジタル通貨)のリテール部分を担当する中間業者として、銀行の他に、電子マネーなどを提供しているフィンテック企業も参入する。ところが、日本の場合、電子マネーが乱立しているので、いかに選択するかは容易でない。

なぜ二層構造のCBDCが必要か?

 CBDCは二層構造になる。

 なぜそうなるのか?

 まず、現在の仕組みを復習しておこう。

 日本の場合について言うと、つぎのとおりだ。

「マネー」には、つぎの2つのものがある。第1は、中央銀行たる日本銀行が発行する「日銀券」。第2は銀行預金だ(この他に、政府が発行するコインがある)。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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