大統領自ら防弾チョッキを身に着け自動小銃を手にして反政府デモの最前線に登場(C)AFP=時事
 

 旧ソ連構成国の1つ、ベラルーシの国内情勢が、大荒れの局面を迎えている。8月9日の大統領選で現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が再選を決めたことに対し、国民の反発が強まっているためだ。

かつては到底考えられなかった光景

 ベラルーシ中央選挙管理委員会の発表によれば、大統領選の投票率は84%に達し、このうち約8割がルカシェンコ大統領に投票したとされている。

 だが、これは国民一般に到底受け入れられる結果ではなかった。

前回(『ロシア民間軍事会社「傭兵」を拘束ベラルーシ「クーデター事件」の真相』2020年8月4日)紹介した通り、26年にわたって独裁を敷いてきたルカシェンコの人気がすでに凋落していることは、もはや公然の秘密である。少なくとも80%もの得票率を取れるような状況でなかったことだけは確かと言ってよいだろう。

 それだけにルカシェンコ陣営も今回の選挙には特別の注意を払っており、野党系の大統領候補の立候補をことごとく取り消したり、ロシアが民間軍事会社を送り込んでいるとして国民の危機感を煽ったりなど、あの手この手で権力の維持を図ろうとした。

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