出馬宣言時点ですでに勝負はついたかのようだが……(C)EPA=時事
 

 安倍晋三首相が電撃的に辞任表明した。後任を決める自民党総裁選は、党内7派中5派の支持を固めた菅義偉官房長官が圧倒的な優位に立っている。

 ただ、約7年8カ月に及んだ安倍政権は、功罪双方で歴代にないほど大きな足跡を残しており、後継の首相となる菅氏は否応なく比較される試練が待っている。党内では、菅氏選出の流れをいち早く作った二階俊博幹事長と各派領袖との溝も大きくなっており、菅氏の前途が洋々とは言えない。

ストレスに起因するホルモンの値が

「食欲もなく、うまく眠ることができない。とても疲れやすくなっている。これから大事な予算編成もあるし、国政に一刻の猶予も許されない」

 8月28日午前10時半過ぎ。安倍首相は麻生太郎副総理と首相執務室で向き合い、不退転の決意で職を辞する考えを伝えた。

 伏線は1カ月以上前からあった。

 首相は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、1月26日から147日間連続で官邸に出勤。関係者によると、血液中でストレスに起因するホルモンの値が異常に高くなり、新薬「アサコール」で抑えてきた持病の潰瘍性大腸炎が再発する兆候が出たという。

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