「リブラ」の締め出しは愚かな政策だ

執筆者:野口悠紀雄2020年9月24日
リブラ公式HPより

 

 EU(欧州連合)は「リブラ」を締め出す規制案を公表した。

 リブラは究極のステーブルコインであり、もし利用可能になれば、日常の決済に広く使われる可能性がある。そうなれば、デジタル決済の状況は様変わりするだろう。

 安全なステーブルコインは、デジタル決済の安全性が確保されていない日本では、とくに求められるものだ。

 リブラは、決済データをビッグデータとして活用し、そこから収益を上げることができるので、利用手数料をゼロにできる。したがって、CBDC(中央銀行デジタル通貨)のリテール通貨として用いることができる。

EUがリブラを締め出す規制

 独仏などの欧州の主要5カ国は9月11日、デジタル通貨への厳しい規制を求める声明文を公表した。

 ここで、「デジタル通貨」と言っているのは、フェイスブックが発行を計画しているリブラを指すと考えられる。

 この声明の内容は、次のようなことだ。

(1)厳しい法や規制が整うまで、EU内での発行を認めない。

(2)認める場合、裏付けとなる通貨とデジタル通貨の比率は1対1とする。

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