新・マネーの魔術史:未来篇 (52)

「リブラ」の締め出しは愚かな政策だ

執筆者:野口悠紀雄 2020年9月24日
リブラ公式HPより

 

 EU(欧州連合)は「リブラ」を締め出す規制案を公表した。

 リブラは究極のステーブルコインであり、もし利用可能になれば、日常の決済に広く使われる可能性がある。そうなれば、デジタル決済の状況は様変わりするだろう。

 安全なステーブルコインは、デジタル決済の安全性が確保されていない日本では、とくに求められるものだ。

 リブラは、決済データをビッグデータとして活用し、そこから収益を上げることができるので、利用手数料をゼロにできる。したがって、CBDC(中央銀行デジタル通貨)のリテール通貨として用いることができる。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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