総選挙目前「ジョージア与党」を脅かす「反ロシア感情」「コロナ急増」
2020年9月30日

8月に一度全域封鎖されたスヴァネティ地方(筆者提供)
南コーカサス(カフカス)地方のナゴルノ・カラバフでアゼルバイジャンとアルメニアの大規模な軍事衝突が発生した。9月29日現在、激しい戦闘がすでに3日間続いており、情勢の更なる悪化が懸念される。
そうした中、前回記したように、両国とも接するジョージアでは来る10月31日に総選挙が予定されている(2020年9月16日『ジョージア総選挙「8年ごとの政権交代」ジンクスは繰り返されるか』)。
今のところ、コロナ禍をよくコントロールしてきたジョージアでは、与党「ジョージアの夢」優位の情勢は揺るがないと見られているが、後段で述べるようにいささか雲行きが怪しくなってきた。
「ガヴリーロフの夜」事件の背景事情
改めて現在の与党が置かれている状況を見ていこう。
2019年夏に起きた大規模な反政府暴動により、一時的に政権は窮地に立たされた。発端となったのは「ガヴリーロフの夜」事件である。
この事件について理解するためには、2012年の政権交代について振り返る必要がある。
2003年秋のバラ革命以来、ジョージアを率いてきたミヘイル・サアカシュヴィリ政権は、腐敗の撲滅による秩序の確立と高度経済成長により、大きな成果を挙げた。また、大幅な世代交代も進んだ。
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