執拗に中国を攻撃していたトランプ大統領だが、とうとう自身が新型コロナに感染 (C)AFP=時事
 

 世界が注目する新型コロナウイルス感染症ワクチンの製造。「自国優先」をむき出しにした各国の開発競争が激化し、「ワクチン・ナショナリズム」が過熱する異例の状況になっている。

 インテリジェンス面でも、米国、英国、カナダの研究所や製薬企業などを標的にした中露からのハッカー攻撃が続いている、と欧米メディアが報道している。しかし、米大統領選挙が絡んで、中国の犯行とやたら強調する米国と、ロシアの工作の方を重視する英国・カナダとの間には明確な温度差が見られる。

 世界のワクチン開発は、『ニューヨーク・タイムズ』が伝えるような「スパイvs.スパイ」の争いとなっているのかどうか、冷静な分析が必要だ。

 本来、世界的に流行する感染症のワクチンは、各国が「公共財」として研究開発で協力すべきものだ。

 深刻化した東西冷戦のさなかにも、流行した「ポリオ(急性灰白髄炎)」(当時「小児マヒ」と呼ばれた)のワクチンをめぐり騒動が起きている。実は、当時の日本は旧ソ連から経口ワクチンを輸入していた。当時と今の国際関係を比較して、何が見えるだろうか。

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