国防情報局長官、国家情報長官を歴任したジェームズ・クラッパー氏(写真)をはじめとする情報コミュニティOBが突き付けたのは「トランプ・ノー」(C)EPA=時事

 

 米大統領選の最終盤で予想通り、民主党候補、ジョー・バイデン前副大統領のウクライナ疑惑がまた頭をもたげた。ドナルド・トランプ米大統領は昨年来、バイデン氏の息子ハンター氏が役員をしていたウクライナの大手ガス会社「ブリスマ」を舞台にした疑惑を追及してきた。

 10月14日に保守系の米タブロイド紙『ニューヨーク・ポスト』がその疑惑をめぐって際どい新情報を報道、一時は「オクトーバー・サプライズか」と騒がれた。22日に行われた最後のTV討論会でトランプ大統領が冒頭、この問題を激しく追及したことからみて、トランプ陣営はこれをバイデン攻略の切り札の1つにしようとしたに違いない。

 しかし、これに対して米政府内外のインテリジェンス・コミュニティから猛烈な非難の声が上がった。

 驚いたのは、わずか5日後の19日、元国家情報長官(DNI)や元中央情報局(CIA)長官らを含む米インテリジェンス・コミュニティの元高官60人(うち9人は匿名)がこれを「ロシアの情報工作」と指摘する公開書簡を発表したのだ。「バイデン候補を傷つけ、トランプ大統領を支援する」目的とも非難した。

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