国連も指摘「日本の入管」外国人拷問の実態

平野雄吾『ルポ入管 絶望の外国人収容施設』(ちくま新書)

執筆者:安田菜津紀2020年12月5日
日本人が知らない「入管」の実態を暴いた衝撃作!

 ページをめくる度に、言いようのない怒りがこみ上げる。

 精神状態に異常をきたすほど非人間的な密室に、期間の上限なく閉じ込められている人々がいることも、蒸し暑く電気の遮断された6人部屋に、17人が24時間以上「監禁」されたことも、床の上でのたうちまわるほど苦しんだ男性が、放置され死に至ったのも、全て公的施設で起きた話だ。

 死亡したそのカメルーン人男性の様子を、職員は監視カメラで観察しながら「異常なし」と報告書に書き込んでいた。この話のどこが「異常なし」なのか、と思うだろう。出入国在留管理庁(入管)の収容施設でのこうした人権蹂躙は、枚挙にいとまがない。

 親が施設に収容され、学校の授業中にもかかわらず、子どもたちが車に乗せられ児童相談所に入所させられたケースなど、「ゼロ・トレランス(不寛容政策)」として非人道的な親子分離を繰り返してきた、米国のトランプ政権下での出来事だと思うかもしれない。けれどもこれは、遠い海の向こうで起きている話ではない。

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