ディエム(旧リブラ)公式HPより

 中央銀行デジタル通貨(CBDC)が導入されると、民間金融機関から預金が流出するだろう。すると、金融機関は貸し出しを行えなくなる。これに対処するための方策としていくつかのものが提案されているが、いずれも本質的な対策にはならないと考えられる。

 CBDCの形態として「トークン型」でなく「口座型」を採用すれば、預金は存続するが、それでは、デジタル通貨を導入することの意味が薄れる。

金融機関からの預金流出問題

 CBDCが導入された場合の大きな問題の1つは、既存の金融機関が大きな影響を受けることだ。

 中央銀行が直接に利用者と接することが現実的には不可能である以上、中間段階に金融機関が介在せざるをえない。

 その場合に多数の金融機関が入ってくると問題が生じるので、仲介機関は比較的少数の金融機関になるだろう。すると、仲介機関に選定されなかった金融機関の預金は不利な立場に置かれることになるので、預金が流出する危険がある。

 前々回(『「デジタル円」が発行されると地銀は淘汰されてしまうのか?』)は、この問題を金融機関の存立という点から捉えた。これは大きな社会問題だが、問題はそれだけではない。これらの金融機関が行っていた融資ができなくなるという意味でも、大問題なのだ。

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