新・マネーの魔術史:未来篇 (64)

「CBDC」導入による銀行預金の流出にどう対処するか?

執筆者:野口悠紀雄 2020年12月17日
タグ: 日本
エリア: アジア
ディエム(旧リブラ)公式HPより

 中央銀行デジタル通貨(CBDC)が導入されると、民間金融機関から預金が流出するだろう。すると、金融機関は貸し出しを行えなくなる。これに対処するための方策としていくつかのものが提案されているが、いずれも本質的な対策にはならないと考えられる。

 CBDCの形態として「トークン型」でなく「口座型」を採用すれば、預金は存続するが、それでは、デジタル通貨を導入することの意味が薄れる。

金融機関からの預金流出問題

 CBDCが導入された場合の大きな問題の1つは、既存の金融機関が大きな影響を受けることだ。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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