ディエム(旧リブラ)公式HPより

 

 デジタル人民元の仕組みや目的が徐々に明らかになってきた。当面は、国内での少額決済に重点を置くようだ。多額の決済や国際送金は、将来の重要課題だ。これによって、銀行の地位を復活させ、電子マネーの成長を抑える。

明らかになってきたデジタル人民元の仕組み

 デジタル人民元の準備が着々と進行しつつある。12月には、蘇州でも実証実験が行われた。

 ところが、一般の報道は皮相的なものが多く、デジタル人民元の発行や流通の詳細な仕組みについては、よく分からない点が多かった。

 11月、ゴールドマン・サックスが、デジタル人民元についての極めて詳細なレポートを発表した。

 これまで詳細がわからず、推測していたことに関して、このレポートは、かなり具体的な事項を明らかにしている。貴重な資料だ。

 以下では、これに基づいて、デジタル人民元の仕組みを解説しよう(ページ数は、このレポートにおけるページ数)。

デジタル人民元、発行の仕組み

(1)デジタル人民元(以下、DC/EP: Digital Currency/Electronic Payment)は2層構造であり、仲介機関として4大商業銀行が入る。これら仲介機関は、中国人民銀行(中央銀行)との間で、取引を行なう。

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