ソロス氏のファミリーオフィス「ソロス・ファンド・マネジメント」の投資活動は市場の重大関心事(C)EPA=時事

 3月31日の拙稿『アルケゴス「ポジション500億ドル」の追加清算に怯える市場』では、米国株式市場急落の原因となった米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントが、ヘッジファンドのタイガー・アジア・パートナーズ元運用者、ビル・フアン氏の運用するファミリーオフィスであることに触れた。

 このファミリーオフィスは、「影の銀行」――シャドーバンキングの進化版だ。実は、シャドーバンキングという言葉、その存在は決して新しいものではない。2007年8月に大手資産運用会社PIMCOのポール・マカリー氏(後に同社チーフエコノミスト)が最初に用いたと言われている。

 同氏はシャドーバンキングを「レバレッジ(梃子の原理)を多用する、ノンバンクの投資コンデュイット、投資先および投資手法の総称」と定義した。コンデュイットとは導管、水路を意味し、金融用語としては、証券化のために担保となる原資産をオリジネータ(保有者)バランスシートから切り離すための仕組みを指す。つまり、シャドーバンキングは、「銀行システムの外側にある金融仲介システム」を指す。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。