民間企業育成で新たな段階に入った「宇宙安全保障」米中競争最前線
2021年5月31日

現在世界唯一のロケット技術は、イーロン・マスク氏率いるSpaceX社の「ファルコン9」に搭載(写真・同社HPより)
宇宙は地球上の公海と同様、国家による領有が禁止されており、すべての国にとっての自由で平等な利用が保障されている場所である。公海の自由には、航行や漁業だけではなく、武力行使に到らない軍事利用の自由が含まれており、公海上で軍事演習を行うことは国際法上合法である。この点をわたしたちはそれほど疑問に思うことはない。
しかし、宇宙利用の自由というときには、軍事とは無関係な人類の夢とロマン、知のフロンティアの拡大といったイメージが共有されているように思える。古くは米国のアポロ計画による有人月面着陸。現在ならば高度約400キロメートルで運用中の国際宇宙ステーションでの日本人宇宙飛行士の活躍や、小惑星のサンプルを採取して地球に帰還した日本の探査機「はやぶさ」1号・2号の快挙などが、宇宙の探査・利用の中核のように考えられていないだろうか。
「強力な民間宇宙産業」が安全保障の焦点に
しかし、実は、宇宙は公海と比べても圧倒的に軍事利用に偏した場所として利用が開始され、現在も世界の覇権をかけた戦いの最前線にあるといえる。
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