ガス不足に悩む国でも原油随伴ガスの回収は進んでいない(イラクのバイ・ハッサン油田)  ©︎AFP=時事

 2016年5月2日、経済産業省は「G7エネルギー大臣会合」の場で「LNG市場戦略」を発表した

 同年10月29日、東京大学先端科学技術研究センター・池内恵教授の要請で「戦略研究学会」主催の公開シンポジウム「エネルギー市場の未来と日本の技術戦略」で基調報告をした筆者は、残念ながら「ニーズに基づかない『LNG市場戦略』は実現困難」と結論付けた(本欄2018年3月7日『途上国向け「LNG取引」に食い込む「オイル・トレーダー」』)。

 実は準備段階で、LNG(液化天然ガス)販売に従事している友人と話をしていて、日本企業の取り組み姿勢に「そうだろうな」と思いつつ、だから役所の戦略は「画に描いた餅なのだ」と感じ入ったことがある。

   その友人曰く、日本のLNG顧客が最も望ましいと考えているLNG契約価格は「日本の平均LNG輸入価格より若干安いもの」なのだそうだ。多くの長期契約が原油平均輸入価格リンクなのだが、これをたとえば米国ヘンリーハブ渡し天然ガス価格リンクや、あるいは代替燃料である石炭価格リンクに変更しようというのではなく、他社より少しでも安ければそれでいい、ということなのだ。

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