岩瀬昇のエネルギー通信 (360)

米LNG開発「CO2・メタン漏洩」削減は「暗黒の水曜日」で“待ったなし”

執筆者:岩瀬昇 2021年6月3日
エリア: 中東 北米
ガス不足に悩む国でも原油随伴ガスの回収は進んでいない(イラクのバイ・ハッサン油田)  ©︎AFP=時事
エクソンとシェブロンが株主からCO2排出削減強化を突きつけられた「暗黒の水曜日」は、石油業界の戦略に大きな影響を与える。LNGではメタンガス漏洩問題やCCSの本格導入の議論も活発化するだろう。

 2016年5月2日、経済産業省は「G7エネルギー大臣会合」の場で「LNG市場戦略」を発表した

 同年10月29日、東京大学先端科学技術研究センター・池内恵教授の要請で「戦略研究学会」主催の公開シンポジウム「エネルギー市場の未来と日本の技術戦略」で基調報告をした筆者は、残念ながら「ニーズに基づかない『LNG市場戦略』は実現困難」と結論付けた(本欄2018年3月7日『途上国向け「LNG取引」に食い込む「オイル・トレーダー」』)。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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