「徴用」訴訟:韓国司法「逆転」の真相は

執筆者:池畑修平2021年6月9日
原告の訴え却下は日韓関係改善に向けてのシグナルか?  ©︎EPA=時事

まさかの「逆転」

「ダイナミック・コリア」とは、かつて韓国の当局が外国向けの観光キャンペーンで採用したキャッチフレーズだ。その当時を記憶している外国メディアの記者の中には、このキャッチフレーズを「政治・社会・経済……あらゆる分野で何が起きるか予測不能な韓国」という、やや茶化しつつも親しみを込めたニュアンスで使う者がいる。私もその一人だ。
そんな「ダイナミック」な国だと理解していたつもりであったが……「徴用」をめぐる訴訟で、6月7日、ソウル中央地裁において「原告の訴え却下、日本企業に賠償命じず」という「逆転」判決が飛び出すとは、思いもよらなかった。

   なにしろ、2018年10月に韓国大法院(最高裁判所)は「日本による韓国併合は不法」という前提のもと、日本企業に賠償を命じる判決を確定させたのだ。それ以後、当然のように、各裁判所は大法院判決に沿って日本企業に賠償責任あり、という判決を言い渡してきた。この流れは変わらないとみられていた。

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