「徴用」訴訟:韓国司法「逆転」の真相は

執筆者:池畑修平 2021年6月9日
タグ: 韓国 日本 訴訟
エリア: アジア
原告の訴え却下は日韓関係改善に向けてのシグナルか?  ©︎EPA=時事
文在寅大統領のレームダック化が進む中での判決は、司法左傾化が進んだ現政権路線の否定とも、逆に青瓦台・司法の連係プレーが大統領にフリーハンドを与えたとも、2つの解釈が成立し得る。対北朝鮮を視野に入れた日米韓トライアングルの中、日本はこの「想定外」を好機として生かせるか。

まさかの「逆転」

「ダイナミック・コリア」とは、かつて韓国の当局が外国向けの観光キャンペーンで採用したキャッチフレーズだ。その当時を記憶している外国メディアの記者の中には、このキャッチフレーズを「政治・社会・経済……あらゆる分野で何が起きるか予測不能な韓国」という、やや茶化しつつも親しみを込めたニュアンスで使う者がいる。私もその一人だ。
そんな「ダイナミック」な国だと理解していたつもりであったが……「徴用」をめぐる訴訟で、6月7日、ソウル中央地裁において「原告の訴え却下、日本企業に賠償命じず」という「逆転」判決が飛び出すとは、思いもよらなかった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
池畑修平(いけはたしゅうへい) 『NHK』報道局記者主幹 1969年生まれ。1992年東京外国語大学卒業、『NHK』入局。1998年報道局国際部、韓国・延世大学に1年間派遣。ジュネーブ支局で国連機関や欧州・中東情勢を、中国総局(北京)では北朝鮮や中国の動向を取材。2015年~2018年ソウル支局長、南北関係や日韓関係、朴槿恵大統領の弾劾から文在寅政権の誕生、史上初の米朝首脳会談などを取材。2019年4月〜2021年3月まではBS1『国際報道2021』キャスターも務めた。著書に『韓国 内なる分断』(平凡社新書、2019年)
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