韓国 徴用工訴訟、迫る「現金化」回避に残されたシナリオ(上)

執筆者:池畑修平 2021年11月15日
タグ: 韓国 日本
エリア: アジア
三菱重工は早ければ来年半ばにも資産現金化が現実になる(写真は新日鉄住金に対する賠償命令の判決=2018年10月30日) ©︎時事
韓国国内でも異論はある2012年の大法院判断だが、三権分立の制約により一度下された司法判断を無効化することは難しい。このままでは、日本企業が韓国で所有する資産の現金化が、早ければ2022年半ばにも始まる見通しだ。

危機は9年前から

 韓国の徴用工をめぐる訴訟で、大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じる判決を確定させてから10月30日で3年となった。被告の日本企業が所有する資産を現金化する手続きは最終段階にまで進んでいる。今年1月に文在寅大統領は記者会見で日本企業の資産の現金化は「望ましくない」と述べた。ただ、そうした「本音」を明かしてみせたものの、司法手続きに直接的に介入することはできず、現金化への流れは止まっていない。最も手続きが進んでいる三菱重工業の場合、地裁が2021年9月に資産(商標権2件と特許権2件)の売却命令を出した。翌月に三菱側は即時抗告をしたが、早ければ2022年半ばには棄却されて現金化が現実のものとなるという見通しが出ている。結局、文在寅政権は、原告たちと日本政府の双方が受け入れられる解決策を打ち出すことができないまま、3年が過ぎた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
池畑修平 『NHK』報道局記者主幹 1969年生まれ。1992年東京外国語大学卒業、『NHK』入局。1998年報道局国際部、韓国・延世大学に1年間派遣。ジュネーブ支局で国連機関や欧州・中東情勢を、中国総局(北京)では北朝鮮や中国の動向を取材。2015年~2018年ソウル支局長、南北関係や日韓関係、朴槿恵大統領の弾劾から文在寅政権の誕生、史上初の米朝首脳会談などを取材。2019年4月〜2021年3月まではBS1『国際報道2021』キャスターも務めた。著書に『韓国 内なる分断』(平凡社新書、2019年)
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