6月21日、当選後初の記者会見に臨んだライシ師 撮影:飯島健太 (C)朝日新聞社
 

新大統領が持つ表と裏の顔

 微笑みながら恭しく腰をかがめ、右手を胸に当てて挨拶を交わす。新型コロナウイルス禍で着用が義務づけられたマスク越しでも、その表情は穏やかなことがはっきりと分かった。

 今年1月1日、筆者はイランの首都テヘランの中心部にあるテヘラン大学の構内で、20メートル先にいるエブラヒム・ライシ司法長官の姿を確認した。この日、その1年前に米国のドナルド・トランプ前大統領の指示によってイラクで暗殺されたイランの革命防衛隊のガセム・ソレイマニ司令官の追悼行事が開かれていた。

 挨拶を済ませたライシ師は壇上に立って演説を始めた。30分余りマイクから離れず、大きな身ぶり手ぶりを交えて、米国やイスラエルの「横暴さ」を批判した。終盤は興奮を隠すことなく、特徴的な甲高い声でがなり立てた。

「我々の敵は自分たちの生命に困難が待ち受けていることを認識し、我々からの激しい報復を覚悟せよ。犯行に関与しているのであれば、大統領だとしても安全と考えるべきではない」

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