石油史の隠れた主役「コモディティ・トレーダー」のエネルギー移行戦略
2021年7月1日

2011年のリビア内戦時にもオイル・トレーダーは密かに重要な役割を担っていた ⓒAFP=時事
週末に石油開発業界の若い友人たちと立ち話をする機会があった。
一人が「石油需要は減少してしまうんですかね?」と聞いてくる。もう一人は「『BP』や『シェル』のカウンターパートと話していると、彼らも将来が読めずに困惑している。いま、何をすればいいのだろうか、と」という。
現業に携わっている彼らは、毎日、目の前の課題を解決し続けなければならない。相手にするステークホールダーも多岐にわたる。そして同時に「More Energy Less Carbon」という、長期的双子の課題(twin challenge)に取り組まなければならないのだ。悩みは尽きないのだろう。
立ち話だったので、その場でまともな回答はできなかった。そこで今回は、彼らへの回答めいたものをまとめてみよう。
筆者が学校を卒業して社会人としての一歩を歩み出したのは、半世紀前の1971年のことだ。1970年に発足した「ローマ・クラブ」が『成長の限界 ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』を発表する前年にあたる。
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