ハーグ地裁が要求「SDGs第7項・第13項の両立」という狭き門

執筆者:岩瀬昇 2021年6月23日
タグ: 訴訟 EU
カタールはLNG生産能力の40%拡充に動いている(ラスラファン工業地区) ⓒAFP=時事
SDGs第7項「すべての人々が手頃で信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセス権を確実なものにすること」は、同第13項「気候変動問題に緊急対応を行うこと」の必要性を減じない、と判決文は言う。だが、第7項達成には化石燃料や電気が不可欠だ。足元の原油市場では「脱炭素化」潮流の矛盾をなぞるような動きも見てとれる。

 日本でも「2050年排出ネットゼロ」実現を念頭に、諸施策・政策が議論されるようになっている。英国グラスゴーで11月開催予定の「COP26」(第26回国連気候変動枠組条約締結国会議)に向けて「脱炭素化」は、もはや世界の基本的潮流となったと言っていいだろう。

 したがって基本認識としては、2021年5月18日に「IEA」(国際エネルギー機関)が発表した「2050年排出ネットゼロへの工程表」(工程表)に代表されるように、2050年に向けて世界の石油・ガス需要は増加するどころか大幅に減少すると見られているのだが、原油市場にはこれを否定するような動きがいくつか散見される。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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