コロナ禍で露呈したプーチン「ロシア式権威主義」の限界

執筆者:マクシム・クリロフ2021年7月9日
ワクチン接種を積極回避するロシア国民は「自由すぎる」のか(C)EPA=時事

 

 一年半以上続くコロナ禍は各国の強みと弱みとともに、それぞれの国の国民性まで露骨に暴いた。想像を絶する厳しい強制措置でウイルスの蔓延を阻止した中国。マスクの着用までが政治性を帯び、コロナ対策を巡って国民が真二つに割れたアメリカ。多くの国と違って最初からロックダウンのような強制措置に対して極めて消極的で、必要最低限の制限だけで次から次へと押し寄せる感染の波を耐え忍ぶ日本。

 2021年6月29日現在、549万人以上の感染者数で世界5位を占めるロシアが示した反応には、いくつかの説明し難い特徴があった。

ワクチン接種回避の理由は「自由」

 去年の春、非常に厳しい感染状況にもかかわらずウラジーミル・プーチン政権が導入したのは、ヨーロッパ式のロックダウンではなく、前例のない「雇用者負担の全国的な連休」だった。その連休は後に2回も延長され、1カ月以上続いたが、パンデミックの勢いが鈍り始めた初夏に人流に対するほとんどの制限が一気に解除。それ以来は再導入されていない。

 あれからちょうど1年経った今のロシアの様子は、一見ほぼ通常に思える。当初から比較的に低かったマスクの着用率は今、ゼロに近い。日本の「Go Toキャンペーン」に似ているリファンド政策が国内観光のブームを引き起こしている。

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