市長選から一夜明け、記者団の質問に答える菅首相(C)時事

 

「大変残念な結果だったが、市民の皆さんが市政の抱えるコロナ問題など、さまざまな課題についてご判断されたわけなので、そこは謙虚に受け止めたい」

 大敗から一夜明けた8月23日朝、菅首相は首相官邸で、記者団に淡々とした口調でこう語った。次期総裁選については、「私は時期が来れば、出馬させていただくのは当然だという趣旨の話をさせていただいた。その考え方に変わりない」と語り、再選を目指す姿勢を崩さなかった。

 首相は市長選の結果に冷静さを装うが、自民内の受け止め方は違う。今回勝利した山中氏は約50万票を獲得し、約32万票の小此木氏に大差をつけた。注目すべきは49.05%の投票率で、前回から11.84ポイントも上昇。自民党幹部は「菅への批判票を入れたい有権者がこぞって動き、山中を支援した」と肩を落とす。

 今回の小此木氏の出馬は首相の本意ではなかったとはいえ、選挙前には全面支援を公言。小此木氏をバックアップするため、個別に行った対談を地元タウン誌に掲載した。

 告示後は、腹心の坂井学官房副長官が政府の仕事そっちのけで小此木氏に張り付き、ビラ配りも並んで行った。それだけに、自民内では「首相が全否定された選挙結果」との評価が定着しつつある。

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