深層レポート 日本の政治 (224)

横浜市長選惨敗で始まる「菅降ろし」

2021年8月23日
エリア: アジア
市長選から一夜明け、記者団の質問に答える菅首相(C)時事
世論の菅義偉首相離れがさらに鮮明になってきた。8月22日の横浜市長選では、首相の全面支援を受けた小此木八郎・前国家公安委員長が立憲民主党の推薦候補、山中竹春元横浜市立大医学部教授に約18万票の大差で惨敗。横浜は首相の地元でもあるだけに、自民党内には「菅首相では次期衆院選を戦えない」という声が急速に高まりつつある。衆院議員の任期満了が10月に迫る中、政局が一気に流動化してきた。

 

「大変残念な結果だったが、市民の皆さんが市政の抱えるコロナ問題など、さまざまな課題についてご判断されたわけなので、そこは謙虚に受け止めたい」

 大敗から一夜明けた8月23日朝、菅首相は首相官邸で、記者団に淡々とした口調でこう語った。次期総裁選については、「私は時期が来れば、出馬させていただくのは当然だという趣旨の話をさせていただいた。その考え方に変わりない」と語り、再選を目指す姿勢を崩さなかった。

 首相は市長選の結果に冷静さを装うが、自民内の受け止め方は違う。今回勝利した山中氏は約50万票を獲得し、約32万票の小此木氏に大差をつけた。注目すべきは49.05%の投票率で、前回から11.84ポイントも上昇。自民党幹部は「菅への批判票を入れたい有権者がこぞって動き、山中を支援した」と肩を落とす。

カテゴリ: 政治
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