深層レポート 日本の政治 (243)

「選挙の顔」としての岸田首相が試される「4月の大型補選」

2024年1月10日
タグ: 岸田文雄
エリア: アジア
年初から試練続きの岸田首相は、9月の総裁選までその座に留まれるか[1月6日、首相官邸にて](C)時事
震災とともに幕を開けた2024年は、昨年から支持率低下が続く岸田政権を幾多の試練が待っている。派閥パーティー券問題で議員辞職が相次いだ場合、4月に行われる補選では、自民党に逆風が吹く中で「選挙の顔」としての岸田首相が試されることとなる。

 岸田文雄首相にとって、2024年はどんな1年になるだろうか。元日から能登半島地震などの陣頭指揮を執りリーダーシップは発揮できたが、悲願とする9月の自民党総裁選での再選に黄信号が灯る現実は変わらない。内閣支持率は危機的水準のままで、1月には自民党派閥のパーティー券事件を巡り、安倍派の衆院議員、池田佳隆容疑者が逮捕される事態に発展した。この事件では、他にも複数の議員が摘発されるとの見方が消えない。永田町では、政権を揺るがす山場を衆院補欠選挙がある4月に迎えるとの見方もあり、首相が勝負の9月までたどり着けるかも不透明だ。

「部隊の方々の懸命の努力で、救助活動が一定の成果を上げている。4日には大阪市消防局が80代女性を救助した。いまだに救助が難航しているところもあるが、あきらめず粘り強く、漏れのない救助活動をお願いする。自治体からの情報によると、相当程度の孤立集落や安否不明者がいるとのことであり、これらの状況確認も関係機関が自治体と連携して早急に行うようお願いする」

 岸田首相は5日午前、官邸で能登半島地震に関する非常災害対策本部会議に防災服姿で出席し、閣僚や省庁幹部にこう檄を飛ばした。

 首相が今回の震災対応の前面に出ているのには訳がある。発災当初、事務方は対応の司令塔組織として、防災担当相をトップとする「特定災害対策本部」の設置を提案。しかし、首相はもう一段ランクの高い、自らをトップとする「非常災害対策本部」の設置を譲らなかったという。

「当初、事務方は『極端に多くの犠牲者が出るような災害ではない』と判断し、首相に災害対応としては中規模の組織体を提案した。正月休みの真っ只中で、省庁のマンパワーが足りないことも考えたからだ。しかし、首相は『できる限りの態勢を取るべき災害だ』と強硬に主張した。首相直属の組織となれば、全省庁が平日のようにフル稼働しなければならなくなるが、首相は考えを曲げなかった」

 官邸幹部はそう振り返る。

 生き埋めや倒壊した家屋の下敷きになった安否不明者は、事務方の見立てとは違い、日を追うごとに増えていった。今回の震災で、犠牲者は総勢200人を超えた。この幹部は「首相の最初の判断は正しかった。防災担当相しか前面に出てこない態勢にしていたら、大規模な救援体制を敷くことも容易ではなかった」と語る。

派閥パーティー券事件で「安倍派5人衆」にも刑事処分?

 首相は昨秋から内閣支持率の下落に苦しみ始め、年末には自民党派閥の裏金疑惑などの影響で、支持率が1割台に落ち込む世論調査も出た。今回の首相の震災対応をみて、ある自民党幹部は「支持率が下げ止まるきっかけになるかもしれない。とりあえず悪い流れは断ち切ることができた」と安堵の表情をみせた。

 しかし、これをもって首相を取り巻く危機が霧消したとはいえない。

 月内には、自民の派閥パーティー券を悪用した裏金事件に関し、東京地検特捜部が一定の刑事処分を下すことになりそうだ。特に集中的な捜査を受けている自民最大派閥・安倍派では、「5人衆」と呼ばれる実力者全員が特捜部の任意聴取を受けている。

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カテゴリ: 政治
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