
麻生派・茂木派を取り込みつつ牽制するのが岸田首相の課題(C)時事
岸田文雄首相は、6月21日に閉幕した通常国会中の衆院解散を見送り、政局はつかの間の凪(なぎ)状態に包まれている。次の焦点は、首相がいつ内閣改造・自民党役員人事を行い、仕切り直しとなる衆院解散を仕掛けるかだ。首相はこの間、公明党との関係悪化に苦しんだり、マイナンバーカードを巡るトラブルが想像以上に拡大したりして、内閣支持率が急落した。解散を先送りし続ければ、来秋の自民党総裁選での再選戦略に赤信号が灯りかねない。
麻生副総裁が止めた解散
「先週閉会した通常国会は、過去と比較しても十分に堅実と言える成果を残すことができた。役員の多大な尽力に感謝申し上げる」
首相は6月27日の自民党役員会で、茂木敏充幹事長らを前に胸を張りながらこう強調した。
通常国会では60の政府提出法案が出され、うち58本が会期内に成立した。一見、高い成立率を誇るようにみえるが、最低でも150日間ある通常国会での政府提出法案の数は、例年ならば100本近い。自民の国対委員長経験者は次のように指摘した。
「今年は会期内の衆院解散を前提に提出数を最小限に絞っただけだ。それで解散できないなんて……」
首相が密かに練っていたのは、6月の国会会期末間際に衆院を解散し、7月に総選挙を断行するプランだったと見られる。首相にとって最も大切なのは……

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