小型EV「五菱宏光MINI」の大ヒットで廉価版EV市場が急拡大いている(写真は上汽通用五菱汽車の公式サイトより)

   中国の自動車業界が電気自動車(EV)を飛躍台に、大きく変わろうとしている。ガソリン車の低迷をしり目に販売台数が急速に拡大し、携帯電話メーカーが生産計画を打ち出すなど異業種からの新規参入組が現れ始めた。完成車だけでなく、車載電池やモーターなど従来のガソリン車にはなかった部品を手掛ける中国企業も次々と登場している。外資主導で成長してきた中国の自動車産業は新たなサプライチェーンを構築し、ようやく自主独立の道へと歩み出すのかもしれない。

EV参入を目指す「中国のアップル」

 中国で今年流行したインターネット用語の1つに「yyds」がある。中国語の「永遠的神」の頭文字をつなげた言葉で、日本語なら「神ってる」「神すぎる」といったニュアンスだ。

   スマートフォンメーカーの「小米(シャオミ)」は多くの若者らが「yyds」と称賛する中国の成長企業だ。故スティーブ・ジョブズ氏に憧れるCEO(最高経営責任者)の雷軍氏が2010年に創業した。「中国版アップル」を標ぼうして成長を続け、中国国内だけでなくインドや欧州にも販路を広げた結果、ついに今年の4~6月期、世界シェアがアップルを抜いて第2位に躍り出た。メディアは対立する米国の企業を打ち破った新興企業のサクセスストーリーを「神話」と喧伝する。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。