2001年、米連邦議会でブルカを着用して演説する、民主党のキャロライン・マロニー下院議員(『C-SPAN』HPより)

 ジョー・バイデン米政権が、ドナルド・トランプ前政権がタリバンとの間で結んだ合意に基づき、アフガニスタンから駐留米軍の完全撤退を進めていた8月15日、首都カブールはあっけなくタリバンに制圧された。

 翌日行われた国民向けの演説でバイデンは、改めて米軍撤退の判断の正しさを強調し、次のように述べた。“米国は20年前、「明確な目標」をもってアフガニスタンに向かった。その目標とは、2001年に同時多発テロ事件を起こしたテロ組織「アルカイダ」が再び米国本土を攻撃しないようにすること、アフガニスタンがそのようなテロ攻撃の拠点とならないようにすることであった。そしてこれらの目的は達成された”と。

 しかし、このバイデンの発言にはご都合主義が含まれている。2001年、米国がアフガニスタンへの軍事攻撃を開始したときを想起すれば、決してバイデンがここで述べた「明確な目標」だけが抑制的に追求されたわけではない。アフガニスタンへの空爆が開始された翌月の2001年11月、米国務省はタリバンによる女性の抑圧について詳述した報告書「タリバンの女性に対する戦争(The Taliban’s War Against Women)」を公表し[1]、同日、大統領夫人(当時)のローラ・ブッシュはラジオ演説を行い、「テロとの戦いは、女性の権利と尊厳のための戦いでもある」と訴えた[2]

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