アフガン崩壊 1975年と2021年「2つの陥落劇」が変える世界

アフガニスタン東部ジャララバードを制圧したタリバンの戦闘員(8月17日撮影) ⓒEPA=時事
アフガニスタン情勢がパンドラの箱を開けようとしている。バイデン政権が米軍完全撤退の公約を実施に移すや否や、反政府勢力タリバンが大攻勢をかけ、政府軍は雪崩を打って崩壊していく。アフガンのアシュラフ・ガニ大統領が国外に退避し、タリバンが首都カブールの大統領府を占拠する。米大使館からは機密書類を焼く煙が上がり、ヘリコプターが舞い去る。
デジャヴュ。そんな光景は多くの米国人の古傷を刺激し、バイデン政権のアキレス腱になるに違いない。古傷とは1975年4月の南ベトナムの崩壊であり、サイゴン陥落である。サイゴン陥落時の大混乱は、米国が目の当たりにした敗戦の風景である。タリバンが人権弾圧を重ねているのは周知の事実。タリバンにやすやすとカブールへの道を開いたことは、強硬派から人権派に至るまでの政権批判を誘発することになっている。

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